所蔵品紹介

【ふる里館所蔵品 紹介6】  
 七輪とかまど(炉)
かまどと七輪
 七輪
七輪1七輪3
 上径28cm、高さ25cm。ロストル径12cm。空気孔兼灰取り孔幅4cm、高さ4cm、金属扉付き。 

 移動式かまど 
 地域によって「へっつい」などとも呼ばれているこのかまど(炉)。
移動式かまど1
 奥行き36cm、幅28.5cm、高さ26.5cm。炉体外径27.5cm、炉体高さ14.5cm、炉体内部径16.5cm。ロストル径14cm。空気孔兼灰取り孔幅19.5cm、高さ6cm。

移動式かまど1移動式かまど2
移動式かまど3移動式かまど4 
 七輪の空気孔を大型化した形態のかまど(炉)で、七輪と同じように軟らかい珪藻土(けいそうど)から削り出したり、粘土を素焼きして作られています。円筒形の内側の下部にロストル(すのこ)が入っており、その下から箱形の前部正面まで貫通させて空気孔が作られています。七輪のロストルが石製あるいは素焼きなのに対し、こちらは鋳物(いもの)製となっています。
 燃料は、七輪ではロストルの上で木炭のほか木炭の粉を丸めた炭団(たどん)や練炭(れんたん)も使いますが、このかまどでは空気孔兼灰取り孔を利用してロストルの下で薪(まき)も燃やすことができるので、煮るだけでなくより強い火力での炊飯もできます。円筒部分と箱形部分の二か所に補強の細い針金状の金輪が巡っています。

【ふる里館所蔵品 紹介5】  
 飯詰め(いいづめ)
 稲わらで厚く編んだこの入れ物ですが、前回紹介したのが「えちこ」で乳幼児を入れておくための道具。これに対して、今回の「飯詰め」は炊きたてのご飯を入れた木製の飯櫃(めしびつ)や、ご飯を炊いた鍔釜(つばがま:羽釜)を入れて保温に用いるもので、かぶせる藁(わら)製の蓋(ふた)がセットとなります。
飯詰め1
飯詰め3飯詰め4
 (直径56cm、高さ35cm、わらの厚さ5cm。蓋の直径66cm、蓋の空き直径36cm、蓋の高さ15cm)
 内部にはわらを敷き詰めており、保温効果が続くようにしてありました。

【ふる里館所蔵品 紹介4】  
 藁製と木製の嬰児籠(えちこ)
CIMG3995
 綺麗に稲わらで編まれていますね。これは乳幼児を入れて眠らせておくための道具の底です。えじこ・えじめ・えずこ・いずめ・えんつこ・つぐら・えんちゃこなど土地土地の呼び方があり、東成瀬では「えちこ」と呼んでいます。

 稲わらで編んだ物が多いですが、柾目に木取りした榑(くれ)を竹の箍(たが)で締めた結桶(ゆいおけ)もあります。内部には、おしめから漏れた尿や便が吸収しやすい藁(わら)・もみがら・灰などを敷き詰め、ぼろや布団・毛布などで足を伸ばして座らせた子どもを包み込むようにしました。また、ゆりかごのように上下にゆり動かしてあやせるように底に木製の弧状揺籃具(ようらんぐ:湾曲させた木片を2本並行あるいは井桁に組み、亀のお腹のような形にした器具)を紐で結びつけたものもありました。

 藁製揺籃具付き嬰児籠
 (直径55×64cm=楕円形、高さ35cm、わらの厚さ5cm)
藁製揺籃具付き嬰児籠1藁製揺籃具付き嬰児籠2
 藁製用揺籃具と藁製用揺籃具付き嬰児籠
 (上部の直径45cm、弧を描く揺籃部の高さ3cm)
藁製用揺籃具1藁製用揺籃具2
藁製用揺籃具付き嬰児籠4藁製揺籃具付き嬰児籠3

 また、木製の結桶のえちこには、底が平らなものと亀のお腹のように湾曲させた形状に作ったものがあり、赤い漆を塗っています。底が平らなものには、火吹竹(ひふきたけ)などを挟んで上下にゆり動かす場合もありました。樽丸職人が孫の誕生祝いに製作したという朱漆塗りの、底を亀のお腹のように湾曲させた形状の揺籃式えちこでは、健康長寿を願って内底に「鶴亀」の墨書がありました。

 木製嬰児籠
 (直径49×61cm=楕円形、高さ24cm(正面取り上げ口)・32cm(側面)、板の厚さ1cm)
木製嬰児籠1木製嬰児籠2

 木製揺籃式嬰児籠
 (直径50×63cm=楕円形、高さ26cm(正面取り上げ口)・36cm(側面)、湾曲する揺籃の高さ3cm、板の厚さ1cm)
木製揺籃式嬰児籠1木製揺籃式嬰児籠2
木製揺籃式嬰児籠4
 通常は家の中で使われていましたが、田植えや稲刈りなどの繁忙期には子どもが出てこないようにして田畑の脇に置いたりもしたそうです。
 昭和50年代には育児も洋風化して平らに寝かせるベビーベットやプラスチック製などのゆりかごが主流となり農村部でも使われなくなりましたが、父母や祖父母たちが子どもや孫の思い出の品として大事に遺していたようです。

【ふる里館所蔵品 紹介3】  
 籾殻焼き器

 秋に収穫した稲から脱穀された籾殻(もみがら)を大量に焼くことは、近年その煙が原因で呼吸障害や交通障害など健康や環境に悪影響を与えるとして禁止されています。
 籾殻焼き器は籾殻の黒焼きをつくる道具で、ブリキ製で円錐形の器台中央に長い煙突をつけたもので、台部と煙突の下半分ほどに小さな空気穴をたくさんあけています。これを盛り上げた籾殻の上部に埋め立てて焼くと、籾殻が灰にならず黒焼きとなります。
 黒焼きは種籾を蒔いた苗代(なわしろ)に散布したり、養蚕で蚕座に蒔き除湿に用いましたが、農家個々人で苗代で苗を作ることが少なくなり、籾殻焼き器の出番もなくなりました。
籾殻焼き器1
籾殻焼き器3
籾殻焼き器2
 全高115cm。煙突の高さ76cm、台部の径43×49cm、高さ39cm=円錐形

【ふる里館所蔵品 紹介2】  
 稲刈り鎌と手押し稲刈り機

 収穫の秋を迎えると、田んぼには大型コンバインが走り回るようになります。昔ながらの稲刈り鎌で田んぼの四隅を刈り取る姿もあまり見られなくなりました。
 弥生時代に水田稲作が行われた頃、稲の収穫は穂先を石包丁で切り取っていました。この穂刈りから、弥生時代以降に茎である稲わらを利用するため稲の根元を刈り取る鉄製の鎌が出現しました。柄に直交するように細身の刃を接合した直刃稲刈り鎌が主流でしたが、昭和時代の初め頃に細身の刃にノコギリのような目立歯(めたては)を付けた鋸鎌(のこぎりかま)も稲刈り鎌として使われるようになりました。刃の種類や柄に付ける角度にかかわらず、稲刈り鎌の柄はひじから握り拳(こぶし)までの長さが基準とされています。コンバインでの稲刈りでも田んぼの四隅を手刈りする必要があり未だ需要があり、鉄製のほか、ステンレス製もあります。
 一日中腰をかがめて稲刈りするのは大変な重労働でしたが、作業の軽減と効率化を目指していろんな工夫がなされ、「手押し稲刈り機」が登場しました。田打車(手押し除草機)にヒントを得たような外観で立った姿勢で稲刈り機を押しだすと両側に付いた鋸鎌で稲の根元を押さえ、手元のレバーを引くと茎を押さえ込んで片刃の鎌で刈り取る仕組みになっています。この仕組みは、後の動力稲刈り機(バインダー)やコンバイン開発につながる優れものでしたが、あまり普及しなかったようです。製造販売・使用された時期や期間などは不明ですが、エンジン付き稲刈り機やコンバインの原型機としてふる里館に所蔵展示されています。

 鋸歯の稲刈り鎌
 細身の刃にノコギリのような目立歯(めたては)を付けています。
     (刃の長さ16cm、柄の長さ21cm)
    鋸鎌1  直刃鎌=草刈鎌
        鋸鎌           直刃鎌=草刈鎌
 

 手押し稲刈り機
 「特許MG-5型 ニッサン刈取機 日産産業株式会社」のプレート貼り付け
    (柄の長さ111cm、取っ手の長さ22cm。レバーの長さ30.5cm。
     器械部の長さ41cm、高さ15cm、幅28cm。
     鋸刃の長さ28cm、片刃の鎌の長さ11.5cm。) 
    手押し稲刈り機1  1稲刈り機を押し出す
     手押し稲刈り機        1稲刈り機を押し出す
   2茎を押さえ込む  3刈り取る
     2茎を押さえ込む       3刈り取る

【ふる里館所蔵品 紹介1】  
 4種類の水田除草道具

 弥生時代以降本州で水田耕作が行われるようになると、収穫を上げるため水田の雑草対策が必要となり今日まで様々な道具や機械が使われるようになりました。
 ふるさと館には近代的な動力機械や除草剤が出現する昭和30年代まで使われた草取り爪(くさとりづめ)、雁爪(がんづめ)、田打車(たうちぐるま・手押し除草機)、除草下駄(じょそうげた)が収蔵展示されています。

 草取り爪 
雁爪1雁爪4使用法
 指先に琴爪のようにつける鉄製の爪で、稲株の回りを引っ掻くようにして草を取りながら土をかき回しました。指先を保護し、草を容易に取れるようになりましたが、雁爪の出現、田打車の出現とともに次第に見られなくなりました。(長さ4cm、幅2cm)

 雁爪
草取り爪2草取り爪5使用法
 直径8mmの丸い鉄棒を平らに叩き、先をとがらせた細長い刃先を内側に大きく湾曲させ、元部をまとめて短い柄に差し込んだもので、水田に這いつくばるようにして草をとりました。田打車の出現・普及する明治後期以降次第に使われなくなりました。(4本の屈折部から刃先までの長さ13cm、全幅11.6cm。柄の長さ9cm、直径3.5cm)

 田打車(手押し除草機) 
手押し除草機2手押し除草機3稼働部
 明治末期に関西地方で舟形の枠あるいは板に竹歯を植え、長柄を斜めに付けた立ったまま草取り作業のできる道具「田打車(手押し除草機)」が考案されて作業能率が高まったので各地に広まりました。その後、改良されて鉄の爪を放射状に植えた木の筒を横にして木枠に取り付け、これを押し引きしながら回転させる形態のものも使われました。改良が重ねられて、爪と回転軸が一体成形されると1条用から2条用と進歩しました。(長柄の長さ125cm(木部103cm)、幅37.5cm(長柄軸部14cm)。舟形の長さ50cm、幅15cm。爪:6枚歯、4列と3列が交互に配置)

 除草下駄
除草下駄1除草下駄3使用法
 押し引きして楽に早く草取りができる田打車(手押し除草機)は体力にまさる男性には適していましたが、小柄で非力な女性や子どもには不向きでした。そこで考えられたのが除草下駄でした。舟形の木枠の底に針金をV字に張り、上部にビニールホースの鼻緒を付けた長方形の下駄に乗って条間を滑らせて草を踏みつぶし、舟首につけた針金を手で引き上げて前進しました。十文字地区で考案されたのか県南の一部地域でのみ使われたようで、農業用具の解説本にも載っていない貴重な道具で、昭和30年代まで使われたようです。2022年7月に4点寄贈されました。(長さ65cm、幅18~24cm)